明日は、建国記念の日。「国民の祝日」ということになっている。「建国の日」(神武天皇即位)というのは紀元前660年2月11日。事実であれば、歴史年表に載っていなければならないが載っていない。
その時代はまだ縄文時代で、『日本書紀』の記述に基づくとはいえ、建国の根拠は何もない。神話の世界の話だ。歴史的事実でないため、年表に載せようがないのだ。
『宣伝研究』17年2月号の「ぶらり旅」で、橿原神宮とすぐ近くの奈良県立橿原考古学研究所附属博物館を紹介した。博物館には、神武天皇が即位したとされる橿原神宮の周辺の橿原遺跡で発掘された縄文晩期の出土品がたくさん展示されている。神武天皇や橿原神宮のことにはまったく触れていない。
神話も現実の世界を反映したものではあり、否定する気はないが、神話に基づき「建国の日」として国民の祝日にするのは、歴史を学ぶうえでも大問題。国民の歴史認識を混乱させ、歴史的事実を学ぶ姿勢を否定することにならないだろうか。
(松村)
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