Ⅲ レイアウトの方法
1 基本は押さえて流す
①隅から、端から、下からつくる
新聞は、縦組みなら右の上段から左へ向かって読み進み、ケイ(罫線)や見出し、写真など流れを阻むものに当たると、1段下の右端に流れます。これを「流し組み」と言います。
紙面の隅や端にケイ線で四角に押さえたハコものを下から積み上げてから、記事を流していきます。これが基本の「押さえて流す」という技法です。
読むときは上から順に読みますが、レイアウトは、隅から、端から、下からつくります。
②ハコモノが決め手
独立したハコものには、リード、タタミ、カコミがあります。ハコものの中は、本文記事との違いが鮮明になるよう「流し組み」とは異なるレイアウトにします。
ハコもののケイ線は行と行の間に引くのではなく、必ず1行以上のスペースをとって引くようにします。
基本組みに段ケイを入れている新聞でも、タタミやカコミの中は、じっくり読んでもらえるよう、段ケイを入れません。また、見出しは中央に置き、本文は見出しを飛び越して読む「渡し組み」にします。
先導役のリード(前文)
リード(前文)は、記事全体の要約や概要、結論を示して興味をひいたり、アンケートや特集など企画の意図を説明して読者を本文へと先導していく役割があります。長文の記事やトップ記事にはリードがあると読みやすくなります。
リードは、本文との違いをはっきりさせるため、字詰めを変えて天地左右に一定のアキ(空き)をとります。例えば、本文の基本組みが12字詰めの場合、リードは2段分、23字詰めにすれば、天地に1文字分のアキを確保できます。
リードをケイで囲む、天地ケイで押さえる、行間に点線を入れて飾る、本文とは異なるフォント(書体)にする、横書きにする(本文は縦書き)、というやり方もあります。
タタミは論評や解説記事に
タタミとは、ケイ線を縦に引いて記事を紙面の左右どちらかに四角形に寄せつけたり、左右の罫線ではさんで四角形にまとめる技法です(Ⅰレイアウトの考え方の図の左肩)。記事は四角形にまとまっていると一体感があって読みやすいのです。
縦位置の新聞の場合、タタミは縦長の長方形にした方が安定感があり、論評や解説記事でよく使われます。
目立つカコミは連載ものに
ケイ線で記事の周りを囲んでしまうカコミは、タタミよりもさらに独立性が高く、だからこそ目立つ存在です。
人物紹介や旅行記などの連載は、カコミで毎号定位置に置きます。きっと愛読者が生まれるでしょう。
囲み方は、1方囲み、2方囲み、3方囲み、4方囲みがあります。天地にケイを入れるだけの「天地ケイ」も囲みの一種です。
タタミはほとんどの場合、縦長の長方形にレイアウトしますが、カコミは縦長、正方形、横長などさまざまです。
タタミと大きく違うのは、記事の天地にケイが入ることです。字詰めは、天地にケイが入るスペースを確保するよう設定します。
③基本パターンをそろえておこう
ハコモノで隅・端・下を押さえたら、縦書き新聞なら、右上のトップ記事から左下へ流していきます。
一番重要な記事を置くこのアタマの形で紙面の印象が決まります。アタマにはスペース的に余裕を持たせ、レイアウトがマンネリにならないよう、いくつもの基本パターンを作っておきましょう。毎号同じレイアウトでは、いくら内容が新しくても読者に飽きられてしまう恐れがあります。