Ⅱ 基本組み
土台はしっかりと
①基本組みは土台
基本組みとは、文字方向(縦書きか横書きか)、紙の大きさ、本文の文字の大きさ・字詰め・段数・左右の行数などのこと。言わば、新聞の土台です。
変化を持たせるのも必要ですが、基本組みあっての変化です。ページ毎に、あるいは号によって変えるようでは、一つの新聞としての統一性に欠け、散漫な印象を受けます。
土台の基本組みをしっかり築いて、定期発行を支えましょう。
縦書きか横書きか
日本語は縦書き、横書き、どちらでも書くことのできる便利な言語です。単純にどちらがいいとは言えませんが、日本では長年縦書きの商業新聞を読み慣れていますから、縦書きの機関紙・広報紙が今も主流です。DTPソフトを使えば、縦書きでも取り立てて不便はありません。
最近では、自治体の広報紙、ミニコミ紙など横書きの新聞が増えつつあります。ただし、横書きの場合、縦書きのような複雑な多段数のレイアウトには向いていません。
紙の大きさ、縦長・横長
紙の大きさは、機関紙ではこれまでB4判やB5判が主流でした。しかし、日本でも国際規格のA判に行政文書の用紙規格が統一され、家庭用プリンターのほとんどの機種もA4判向けです。機関紙・広報紙も今後A判化が進みそうです。
紙を縦長に使うか横長に使うかも重要です。
紙を縦長に使う縦位置は、縦書き新聞の場合、緊迫感があり、もっとも新聞らしいといえます。
紙を横長に置く横位置新聞は、ワイドでゆったりしたイメージ。大きな文字の見出しやスローガンを1行で横書きできるメリットもあります。
横位置縦書きは、速報ニュースや学級通信、単発で出すビラなどによく使われています。
字詰め、字間、行間
紙の大きさを決めたら、本文文字の大きさを決めます。最近は字を大きめにする傾向がありますが、あまり大きいと掲載できる情報量が減ってしまいます。多くの新聞は10ポイント前後になっています。
新聞は速読が求められるので、字詰め(1行の文字数)を少なくして多段数にします。そうすれば、折り返しごとにテンポよく次の行に速く読み進められます。字の大きさとも関係しますが、縦書き新聞の場合、1行10~14字が適当です。
字間は詰めて、行間はややゆったり半文字分取ると、読みやすく、新聞らしい基本組みになります。行間が決まれば、左右の行数は自ずと決まります。
②題字は表札
基本組みが土台なら、題字は表札。
題字は新聞の名前(題号)をデザインしたもので、毎号同じものを定位置に置くのが基本で、存在感あるものにします。ただし、目立ち過ぎたり、大き過ぎたりすると、トップ見出しが目立たなくなるので注意しましょう。
縦書き新聞の場合、題字は、右上にタテ位置で2~3段、左右5~6行分、あるいは左上にヨコ位置で1段、左右12行程度が一般的な大きさです。
題字下には、発行年月日、号数、発行者名、住所、連絡先を明記します。
③りんかくケイと段ケイ
商業新聞のように、紙面全体をケイ線で囲むのが新聞独特のスタイル。輪郭ケイ、外がこみケイなどと呼びます。
しかし、機関紙などのようにB4判ほどの小さい紙面では全体を囲むと少し窮屈な感じがします。そこで、左右のケイ線をはずして天地だけを押さえる形が多用されるようになりました。天地のケイ線もなくすと、締まりがなくなります。
段と段の間は中段、段間、ドブなどと呼ばれ、1文字分程度の空きを取ります。
段間にケイ線(中段ケイ、段ケイ)を入れると、スピード感や緊迫感を表現できます。段ケイを入れない紙面はゆるやかな優しい感じです。商業新聞のように日刊で、報道記事中心の紙面には段ケイが似合っています。
段ケイを入れる紙面でも、タタミやカコミの中には段ケイを入れず、ハコものの一体感を演出します。文化・娯楽など柔らかい内容のページでは、ページ全体で段ケイを使わないという方法もあります。